日本三大和牛のひとつして名高い「松坂牛」
その味わいは、「口の中でとろける」「はしで切れる」などといったような表現がたびたび見受けられます。その秘密を探ってみましょう。
松坂牛が口の中でとろけるような味わいといわれる秘密は、その優れた脂肪の質であることでしょう。良質な肉の脂肪に指で触れると、体温だけでもわずかに柔らかな感触になってきます。これが優れた脂肪の証拠なのです。
いわゆる霜降りと呼ばれる状態は、この優れた脂肪が赤身に刻むようにして織り込まれていることで、専門用語では「脂肪交雑」と言われています。
とろけるような味わいのためにも、霜降りは欠かせません。最上級A5ランクの松坂牛となると、その霜降りの模様は、もはや芸術品といっても過言ではないくらいにも見事な美しい見た目に仕上がっていることでしょう。
その霜降りは、すべて良質な脂肪で出来ているのです
他の和牛産地に比べて、肥育期間が約三年間と比較的長い松坂牛。この肥育期間は、良質な肉を仕上げるためのギリギリの期間とのこと。それ以上肥育が長くなれば、脂肪が乗りすぎて変質してしまうそうなのです。
大きく成長した牛は、だんだん飼料を食べなくなり、そうすると霜降りはあっさりと消えていってしまいます。そこで松坂牛は、最後までしっかりと沢山の飼料を食べられるように、丈夫な胃袋を作る工夫がされています。
質の高い霜降りを保ちつつ、じっくり長期肥育する。確かな技術を持っていないと、なかなか出来ない芸当です。
この肥育技術の高さが、日本三大和牛の王様「松坂牛」の銘柄の地位を確固としたものにしているのです。