松阪牛が一頭まるごと振舞われ、食べ放題だという――そんな豪快な「牛まつり」が、松坂牛の産地、飯南町で毎年催されています。
飯南町の牛まつりは、同町にある自然保養施設「リバーサイド茶倉」で年に一回開かれています。
平成八年の第八回の開催時には、定員を超える380人がまつりに訪れて、大人一名5500円の料金で松阪肉をたらふく味わったそうです。
松阪市内や津市などの周辺からの人出が七割ほどで、それ以外は県外から訪れた客、とくに名古屋からわざわざ足を運んできた客が多かったそうです。
気になる松坂牛の味のほうは、やはり地元の農家が手塩にかけて大事に育て上げただけあって格別なものということです。
平成元年の茶倉オープンにあわせて始められたものでした。
売上金などの儲けには期待をかけず、町おこしとしてのPR効果を狙ったものだったそうです。
飯南町は、松阪肉牛共進会の最優秀賞受賞の農家を排出する松坂牛の名産地ですが、これまでに松阪牛を前面に押し出すようなアピールは、とくに行われていませんでした。
一頭まるごとを大判振る舞いするという奇抜なアイディアには、当初は賛否両論ありましたが、実際に開催されると人気は抜群。
当時、新聞の小さな紹介記事を読み、名古屋市内など遠方からの電話申し込みが殺到したそうです。
松坂牛には、産地に住む人々が思っている以上の価値があり、町おこしにまで力を貸す松坂牛のネームバリューにはあらためて驚かされますね。