東京と三重県多気町、直線距離にして300kmほど離れたこの都市間を、牛を載せたトレーラーは一ヶ月に一度行き来します。
松坂牛の産地である多気町内の15戸ほどでつくられた肥育農家のグループが、それぞれの牛を載せてトレーラーは一路、大消費地である東京を目指します。
このグループが東京出荷を始めて既に二十年ちかくたちますが、農家の直接出荷という店では非常に珍しいやり方だと言われています。いわゆる産地直送といったようなところ。
中間業者に払う費用が必要なく、手取りが増えることに利点があるとはいえ、出荷枠として決められた13頭を毎月一頭も欠かすことなく届けならなければならないという点では非常にシビアな部分があります。
このグループが安定した肥育規模を維持できているからこそ、実現していることだそうです。
もちろん東京だけでなく、地元のお店にも良い牛を出していると自信を込めて肥育農家たちは語ります。
How to !牛の輸送は?!
牛の輸送は、太陽が出る日中の暑さで牛が弱らないようにと夜に行われます。
トレーラーには、牛とともにそれぞれの出生地・父母の牛名などが記された子牛登記の書面が積み込まれています。
急発進、急ブレーキを控えて、ゆっくりとしかし確実に東京へとトレーラーはひた走ります。
そして、グループ内で決められた順番で代表の農家が牛の後を追い、牛たちが東京食肉市場に上場される月曜日にあわせて東京に向かいます。
自分たちが育て上げた牛の肉質と、ついた値をじかに確かめることにより、これからの松阪牛づくりの参考にするというわけです。