伊勢神社の初参りの車が連日列を成す、正月三が日の伊勢自動車道の渋滞で苛立つドライバーの目にとまるひとつの看板。
そこに描かれた真っ黒な牛を見て、多くの人は「松阪に入ったな」と感じます。松阪といえば、牛。このイメージは、地元の人よりも他県に住む人のほうが強いのではないでしょうか。
松阪を訪れる観光客は、年間約百七十万人。名所めぐりや祭りの見物とともに、観光客にとって大きな目玉になるのが「松阪牛」のステーキやすき焼き、焼肉などの食事なのです。
松阪肉料理の店が軒を連ねる松阪駅周辺の駐車場に並ぶ車は、他府県のナンバーをもつものばかり。観光客の多くは家族単位で、夏休みなどは近隣多府県から来る家族連れが非常に多いとのことです。
松阪牛でも上等なものは、食事も値が張るものが多い。
しかし、わざわざ他府県から家族でやってきた多くの人は、「松阪に来たなら、本場の松阪牛を食べないと」と、値段など意に介さない風なのです。
伊勢志摩地方への観光客が、旅の途中で松阪に立ち寄るケースも少なくはありません。
愛知県からはるばる親類、友人と初参りのために伊勢神社へ来たという男性は、帰りの道中に松坂肉のすき焼きを堪能し「松阪といえば牛肉でしょう」と話します。
「名高い牛肉を、一度食べてみたかった」とも。
松阪に行ったら、なにはともあれ松阪牛を食べるという。松坂牛のもつブランド力は、地域の大きな活力となり全国にその名をとどろかせているのです。