和牛ブランドの条件とは、いったい何のことでしょうか。
中央畜産会にこの問いを投げかけると、「和牛ブランドの認定機関はなく、あえて言うならば知名度によって認定される。」とのこと。しかし、圧倒的なネームバリューで流通しているものは、ごくわずかなものだとも指摘します。
確かに、近年つくられている振興ブランド牛は、最高級の牛を毎月10頭以上は大消費地である東京または大阪に出荷しなければ、全国的な知名度を獲得することはできないと言われています。
国産ブランド和牛の品種といえば、多くの人がイメージするのが黒毛和種です。
松阪牛をはじめ、飛騨牛や伊賀牛、前沢牛などがこの黒毛和種の和牛です。
霜降りの高級牛肉は、黒毛和種がもつ特性なのです。褐色和種や日本短角種、ホルスタインなどの品種もありますが、やはり多くの人が「味は黒毛和種が一番だ」と言います。
しかし、黒毛和種をはじめとした肥育農家の多くは、現在とても厳しい状況に直面しています。
繁殖農家の高齢化が進み、後継者不足に頭を抱えて廃業をする農家も増えて、子牛の価格がはねあがる可能性を常に抱えているのです。
しかし、高い子牛を買ったからといって、高く出荷できるとは限らないというのも厳しい現実です。
高級牛肉を作るだけが安定した経営となるわけではなく、それぞれの農家に一番適したスタイルでの肥育をすすめるのが得策だといわれています。
松阪牛は、「ブランドの条件」をすべて兼ね揃え、いまも昔も日本一の座に君臨し続けています。
ほかでは真似の出来ない独自の長期肥育方法と、全国的な知名度で他の振興ブランド牛を圧倒し、流通ルートを確立させていることが大きいようです。