松阪の地元以外の人々は、おそらく「松阪市内には至るところに松阪牛が育てられているのを見ることができる」と思っている人も多いのではないでしょうか。
肉牛牛が専ら牛舎という屋内で飼われていることを差し引いたとしても、実際は市内で肉牛を見る機会は非常に稀なことなのです。
松阪牛というブランド名に地名を冠しているものの、肥育農家は市内中心部にはごくわずかしかいないのです。
松坂牛の肥育地帯は、圧倒的に郊外が中心であり市内中心部からいわゆる肥育農家のドーナツ化現象が見て取れます。
古くは松阪市内中心に程近い地域でも、多くの農家が存在しそれぞれ農業のための役牛を飼育しており、その大部分が太らせて肉牛となっていました。
しかし、耕運機の発達により役牛の文化は次第に消え、さらに高齢化社会と後継者不足による農家の減少に伴い、松阪市内の小規模な肥育農家は次々と姿を消していったのです。
松阪だけでなく・・・
全国的にも肉用牛の肥育農家は減少傾向にあります。
機械化が進み大規模肥育が可能になる一方で、そっらの勢力に抑えられて小規模な農家が脱落して行っていると分析されています。
この全国の統計でも見られるように、松阪牛の産地でもさらに農家が減少してゆく危惧は大いにあります。
いまでは松阪肉牛活性化協議会の手で、農家数や肥育されている肉牛の頭数などを調査し正確な数値を割り出した上で、これからの松阪牛というブランド、そして肥育農家たちをどのように守っていくのかを日々考えられています。